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第3回 認知症症状や種類

一般的に「認知症=アルツハイマー」が定着していますが、実は、発症の原因によって数十種類もの認知症があると言われています。 例えば低血糖が原因の場合や、頭部に外傷を負ってなることもあります。 そんな数多い認知症の種類の中でも、「3大認知症」として知られており、かかる人も多いと言われているのがアルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症です。 アルツハイマー型認知症が全体の約55%、脳血管性認知症が約19%、レビー小体型認知症が約18%となっています。

タイプ別に見た認知症の症状

では、それぞれの認知症には、どのような特徴があるのでしょうか。

アルツハイマー型認知症 【軽度】
日時がわからなくなる
不必要な買い物をするようになる


【中度】
場所の認識ができなくなる
大声をあげたり暴言を吐いたりする
暴力や徘徊などの問題行動が起きる


【重度】
被害妄想や幻覚が頻繁に出る
家族など身近な人のことがわからなくなる
身体機能が低下する
脳血管性認知症 半身に麻痺症状が起きる
自発的な意欲が低下する
頻尿、尿失禁を起こす
歩くことが困難になる
嚥下障害を起こす
レビー小体型認知症 幻覚や幻視、幻聴を起こす
人間関係や環境に対して無反応になる
睡眠障害を起こす
便秘や血圧の変動など自律神経障害を起こす
1日の中で感情の起伏が激しくなる

認知症のさまざまな症状

一言で認知症といっても出る症状は認知症患者によって異なります。 ひどい物忘れをイメージされるかと思いますが、動き回る、暴力・暴言、幻覚・幻聴などさまざまです。 脳のどの部位の神経細胞が変性しているか、また萎縮しているかによって症状が異なってきます。 脳では、どのようなことが起きているのでしょうか。 まず、脳内の細胞の変性や受けるダメージによって、記憶力が低下したり、簡単な計算ができなくなったりする中核症状として現れます。 今まで出来ていた日常生活に支障が出て認知症に気づく場合もあります。 その症状が進行していくと、次は周辺症状(=行動・心理症状)になって現れます。 周りの環境や人間関係によって症状の現れ方はさまざまです。 認知症患者、一人ひとりに合わせてケアの仕方を変えることが重要となります。

中核症状と具体例

記憶障害 物事を記憶する力が低下。 特に、直近の出来事について覚えていられなくなる。
見当識障害 見当識(いつ・どこ)が低下。 日時がわからなくなったり、迷子になったりする。
実行機能障害 実行機能が低下。 計画を立てたり、手順を考えたりすることができなくなる。
理解・判断能力障害 理解・判断能力が低下。 物事を順序立てて考えられなくなり、炊事などの家事ができなくなる。
計算能力障害 計算能力が低下。 簡単な計算ができなくなり、買い物ができなくなったりする。

周辺症状と具体例

感情障害 周囲の空気を読むことができなくなり、その場に合わせた対応ができなくなる。
うつ 認知症への不安や戸惑いから、ふさぎ込むなどのうつ病のような症状が出る。
暴力・暴言 不安や戸惑い、また記憶力の低下によってイライラして暴言を発したり、暴力を振るってしまったりする。
幻視・幻聴 現実にない人や物が見えたり、また会話が聞こえたりする。

認知症高齢者の受入れ施設は?

まず挙げられるのが「グループホーム」です。9~18人程度の少人数で家庭的な雰囲気の中で共同生活をします。 自分がやれることは自分で行い、共同生活の中でそれぞれに「役割」を持たせ、進行を和らげていきます。 また、最近では有料老人ホームでもグループホーム同様に認知症患者を積極的に受け入れる施設が増えてきています。

有料老人ホームが行っている認知症高齢者へのケア

有料老人ホームが行っている主なサポートとして
①玄関や窓、共用玄関の施錠・入退館の管理を徹底する
②外出時にはスタッフが付き添う
③看護師を常駐させ、服薬管理を徹底する
④同敷地内にグループホームがある場合、状況を共有し場合によっては転居など適切なケアを行う
⑤グループホームと提携し適切なケアを行っている場合もある
などがあります。
介護施設に入居を検討の場合は、どのようなケアをしているのか、しっかり内容を確認することがポイントです。

認知症受入れの中心はグループホーム

先に少し述べたように、グループホームとは、認知症の高齢者が1ユニット(5~9人以下)で共同生活をする施設です。 家庭に近い環境で周囲と協力しながら共同生活をする中で認知症の進行を緩和させる目的があります。 グループホームの定員は、1ユニット(9人)もしくは、2ユニット(18人)です。
有料老人ホームでケアを受けるか、グループホームでケアを受けるかは、自分に合った環境を選ぶことがベストだと思います。

認知症相談窓口

1人で悩み、抱え込むのはとても危険です。 相談する場所やコミュニティはたくさんあります。 是非積極的に活用してください。

認知症介護に関する主な相談窓口

市町村窓口 各市町村で担当部署や地域の関係機関を紹介してくれる
地域包括支援センター 在宅生活をサポートするための様々な情報やサービスを紹介
居宅介護支援事業所 ケアマネージャーに介護サービスや地域の介護情報などを相談できる
保健所・保健センター 健康に関するあらゆる相談に対応してくれる
高齢者総合相談センター 専門家による無料相談が電話で受けられる
福祉事務所 高齢者福祉に関する相談窓口

認知症治療に関する相談窓口や医療機関

物忘れ外来 認知症治療の専門医師が開いている外来
精神科・脳神経内科・老年科 認知症の専門医がいる診療科
老人性痴ほう疾患センター 精神科を設置している総合病院にあることが多い

まとめ

認知症介護に関しては、介護する家族にとって悩みの尽きないテーマです。 一番大切なことは、1人で悩まないこと。 多くの人が同じような悩みを抱えています。 そういった集まりが多くあるので是非活用してみてください。 例えば、ネット上での相談、地域によっては、認知症患者とその家族が集える認知症カフェなどの取り組みをしています。 認知症予防財団では、無料で認知症に関する電話相談などを受け付けている場合もあります。 認知症は、認知症患者本人もその家族にとっても、とても苦しいことです。 正しい知識を知り、うまく接していけば、認知症と上手に付き合っていけるのではないでしょうか。