介護の悩みをまとめて解決

介護に関するお悩みアレコレ。わかりやすく解説します!

第1回 失敗しない施設選び

老人ホームや介護施設は、種類が多く、かかる費用や設備、サービス内容も施設によって異なります。 また、形態が同じでも設備やサービス、費用が異なることも多く、しっかり下調べする必要があります。 例えば、同じ有料老人ホームでも、入居一時金がなく月額利用料もリーズナブルな価格な施設もあれば、富裕層をターゲットとした高級老人ホームもあります。 低価格だからといって設備やサービスが不十分というわけでもないので、見極めることが重要となります。

老人ホーム・介護施設の種類

さまざまな形態の老人ホーム・介護施設があり、さらに民間が運営する施設と公的施設に分かれています。 まずは、わかりやすく表にまとめてみました。

民間運営

有料老人ホーム 介護付有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム
健康型有料老人ホーム
その他の施設 サービス付き高齢者向け住宅
グループホーム
シルバーハウジング

公的施設

介護保険施設 介護老人福祉施設
介護老人保健施設
介護療養型医療施設
福祉施設 ケアハウス
養護老人ホーム

老人ホーム・介護施設の特徴

これだけ種類があると、どこがいいのか、どのように探せばいいのか、迷ってしまいます。 それぞれの施設の特徴を下記にまとめてみました。

特別養護老人ホーム

特徴 都道府県知事の指定を受けた公的施設で、病気や障害のため在宅生活が困難な高齢者に対してサービスを提供します。
対象 原則として要介護3以上の方が対象となります。 ただし、やむをえない理由があれば要介護1または2の方でも入居できる場合があります。 対象年齢は、基本的に65歳以上です。 要介護3以上で特定の疾病を負っている第2号被保険者の方は、40歳から利用可能となります。
費用 相部屋、ユニット型個室など部屋のタイプによって異なりますが、だいたい入居一時金なしで月額利用料は10万円程度が相場となっています。
サービス 食事、入浴、排泄などの介助、機能訓練、通院の付き添い、安否確認、緊急時対応などの「介護サービス」。
居室の掃除、買い物などの「生活支援サービス」。
レクリエーションやイベントの実施、趣味や体操などの「アクティビティ」。
健康相談、服薬管理、医療機関との提携などの「健康管理サービス」。

介護保険老人施設

特徴 医療ケアやリハビリを重点に行い本人の能力に応じて自立した日常生活を送れるように支援するとともに、在宅復帰を目指す施設です。
対象 原則65歳以上、要介護1以上の介護認定を受けている方。
費用 医療ケアやリハビリなどで専門スタッフを配置しているので、料金は特別養護老人ホームより高めです。 ただし入居一時金はなく、世帯収入に応じた費用の減免もあります。
サービス 痰の吸引や床ずれの処置など、医療的なケアが必要な方も受け入れている施設が多いです。 治療が終了して病院から退院する場合、そのまま自宅療養が不安な場合や特養の待機待ちの間など、一時的に利用する場合もあります。 原則として在宅復帰を目指す施設なので、入居期間の基本は3か月、長くても1年くらいです。

介護療養型医療施設

特徴 療養病床のある病院や診療所で、介護や生活上の世話や機能訓練などを行います。 医療施設のひとつなので、医師、看護職員の常駐が義務付けられています。
対象 原則65歳以上で、要介護1~5の方。 気管切開や胃ろう・腸ろうのような医学的管理を常時必要とする方。
費用 入居一時金なしで、月々の利用料は6~15万円と有料老人ホームなどに比べると低予算で利用できます。
サービス 医学的ケアがメインです。 医療上のサポート、リハビリテーション、食事・排泄介護など。

ケアハウス

特徴 A型は食事のサービスがついており、B型は自炊タイプです。 C型は介護付きで別名「ケアハウス」と呼ばれています。
2008年以降はケアハウスに統一されています。
対象 60歳以上の方。 ご夫婦で入居する場合は、どちらか一方が60歳以上であることが条件。
費用 月額利用料は一般型で約6万円~16万円、介護型では約6万円~約20万円程度が相場。
サービス 食事提供や入浴の準備のような日常生活のサポート。 介護型は、それに介護サービスを提供します。

有料老人ホーム

特徴 民間企業の経営が多く、主に介護付と住宅型があります。
対象 施設によって違いがありますが、おおむね60歳以上を対象に、自立~要介護5まで入居可能な施設がほとんど。
費用 施設によって異なります。 入居一時金なし、月額利用料が数十万と比較的リーズナブルな価格で入居できる施設から数千万~億を超える高級施設までさまざまです。
サービス 介護付有料老人ホームでは、家事や日常生活を送るための支援、機能訓練、療養上の世話などの介護サービスを提供。
住宅型有料老人ホームでは、生活支援サポートがメインです。 介護サービスを利用したい場合は、外部の訪問介護事業所や併設の介護事業所と契約をして介護サービスやデイサービスを受けます。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

特徴 賃貸住宅扱いで、安否確認と生活相談サービスを提供する高齢者向け住宅。 夜間の人員配置や見守り体制は施設によってまちまち。
対象 受け入れ要件は施設によって異なりますが、60歳以上の方を対象に、自立~要介護5まで。
費用 入居一時金は不要ですが、普通の賃貸住宅のように敷金が必要です。 家賃のほかに食費や管理費などがかかります。 賃貸住宅と同じイメージです。
サービス サービスも施設によって異なりますが、最近では、住宅型有料老人ホームと同じようなサービスを行う施設も多くあります。 介護・看護・医療的なサポートについては事前にしっかり確認することが必要です。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)

特徴 「認知症対応型老人共同生活援助事業」と呼ばれ、ご入居者様の能力に応じて各自が料理や掃除などの役割を分担しながら、自立した生活を送ります。 家庭的な団らんを楽しみながら自宅と同じような雰囲気で過ごすことができるのが最大の特徴です。
対象 その施設のある市区町村の住民で、原則65歳以上、「要支援2」または「要介護1」以上の介護認定を受けていて、認知症の診断を受けた方。
費用 月額利用料が6万~8万くらいと比較的リーズナブルな価格の施設が多いです。
サービス 認知症などで常時介護を必要とされる方へ、食事・入浴・排泄、相談及び援助、その他日常生活上のサポート。 医療的なケアは基本的に行っていないため、医療的な処置が必要になった場合、退去しなければならない場合も出てきます。

老人ホーム・介護施設 それぞれのメリット・デメリット

それぞれの施設にメリット・デメリットがあります。 それを知って、自分または、入居を検討する家族に合う施設を見つけます。

有料老人ホーム

メリット 介護付有料老人ホーム
幅広い層に対する受け入れ体制が整っている
レクリエーションの種類が多い
24時間介護サービスを受けられる
介護費用が一定である

住宅型有料老人ホーム
必要な介護サービスを選択できる
幅広い層に対する受け入れ体制が整っている
レクリエーションの種類が多い
24時間介護サービスを受けられる
デメリット 介護付有料老人ホーム
施設によっては費用が比較的高額になる
介護サービスは、外部の事業所と契約できない
訪問診療も、契約のクリニックがあり、それまでのかかりつけ医に継続して往診してもらえない

住宅型有料老人ホーム
入居一時金が必要な施設も多く、月額利用料も比較的高額
施設によっては、訪問診療や介護サービスは契約している医療法人や自社の事業所に決まっている場合がある
必要な介護の内容により、利用料金が変動する

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)

メリット 敷金などが必要だが、入居一時金はなく、入居時の費用は抑えられる
必要な介護サービスを自由に選択できる
買い物に行くなど、自宅と同じように自由に生活できる
自宅近くであれば、訪問診療や訪問看護、介護サービスも継続して利用できる
デメリット 介護が必要になった場合、要介護度が高くなると負担が高額になる場合がある
要介護度が高かったり、認知症が進んでいたりすると入居を断られる場合がある
自立している方が多く、介護スタッフがあまり介入しないので、住人トラブルが起こる場合がある

グループホーム

メリット 比較的低価格で入居できる
認知症のための機能訓練やレクリエーションが充実している
少人数で家庭的な雰囲気の中でケアを受けられる
デメリット 地域密着型サービスなので、同じ地域に住民票がないと入居できない
医療依存度が高いと入居できない
病気で入院した場合、退院後の容体によっては戻れない場合がある
感染症や他者への暴力など、共同生活に支障をきたすことがあると入居できない

特別養護老人ホーム(特養)

メリット 入居一時金はなく、収入に応じて費用の減免もあり、月額利用料が低額
終身で利用が可能
デメリット 入居待ちの人数が多く、すぐに入居することが難しい
原則として、入居資格は要介護3以上に限られている
医療依存度が高い方は入居できない施設が多い

介護老人保健施設(老健)

メリット 入居一時金はなく、収入に応じて費用の減免もあり、月額利用料が比較的低額
医療・看護体制が整っていて、理学療法士や作業療法士など専門職がリハビリテーションを行う
デメリット 入所期間は基本的に3ヵ月、長くても1年程度で退所しなければならない
季節行事を開催する施設もあるが、レクリエーションはほとんどない
居室は基本的に相部屋

介護療養型医療施設

メリット 入居一時金はなく、月額利用料が比較的低額
医療・看護体制が整っているので、医療依存度の高い方を受け入れている
デメリット 入所期限の規定はないものの、将来は廃止になることが決まっているので、将来的にその施設がどうなるのかを事前に確認する必要がある
医療ケアが中心で相部屋がほとんど
季節行事やレクリエーション活動はほとんどない

軽費老人ホームやケアハウス

メリット 入居一時金はなく、収入に応じて月額利用料が決まるので、低額で入居できる
ケアハウス(軽費老人ホームC型)は介護サービスが受けられるので、介護度が高くなっても住み続けられる
デメリット 軽費老人ホームは、入居待ちが多い
軽費老人ホームA型・B型は自立の方が対象なので、介護度が上がった場合、退去しなければならない
ケアハウスは、入居一時金や月額利用料が高額な施設がある

介護施設の選び方

介護施設や老人ホームが掲載されているウェブサイトや各市区町村にある「地域包括支援センター」の高齢者相談窓口へ相談するなど、下調べをしっかり行うことがポイントとなります。 簡単に介護施設の選び方のポイントをまとめてみました。

・自分が住みたい地域について考える
生活をする上でとても大切なのは、周りの環境です。住み慣れた街で住みたいか自分に合った環境に引っ越すのかなど、どのような環境で生活したいのかまず考えて施設を選ぶエリアを決定します。

・出せれる費用について考える
自分が支払い続けることができる金額でないと、いくら気に入った施設があっても住み続けることが難しくなります。 予算を概算で出すことも重要ポイントです。

・情報収集する
住みたいエリアや予算が決定したら、そこにどのような施設があるのか情報を集めます。 インターネットや地域包括支援センターを利用し、気になる施設があれば、パンフレットを請求したり直接問い合わせしてみます。

・見学は必須
施設が絞り込めたら、必ず実際に施設を見ることが大切です。 インターネットやパンフレットだけではわからない実際の施設の雰囲気を感じてみてください。 管理者やスタッフの対応、入居されている方の表情やスタッフの接し方など、しっかり観察することが大切です。 可能であれば、食事を試食したり、月の献立表をもらうのもおすすめです。 気になることは、遠慮なく何でも聞いてみてください。

まとめ

それぞれの施設に特徴があり、メリット・デメリットがあります。 自分がこだわるポイントや譲れないポイントなどは網羅した施設でないと入居した後に後悔しても、なかなか他の施設へ移動するのも大変だと思います。 大切な生活を送る環境を探すのですから、早めに行動をし、時間をかけてしっかり探すことが大切です。